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「羽仁、帰るよ」
しばらくして、あまり時間が経っていないのに、久住さんは帰ると言う。
「……え、」
もう少しゆっくりしていけば、と思うのはどうやら私だけのようで、「響、枢木さん、ご馳走様」と、久住さんは立ち上がって、自分と私のバッグを拾い上げた。
「響先輩がごめんなさい、悠來先輩」
「またね、羽仁ちゃん」
何故か久住さんに謝罪するお姉ちゃんと、気持ちよく送り出す響くんの対比がおかしかったけれど「また来るね」そう言って、二人と別れた。
たなぼた感覚で訪れた、数日ぶりの久住さん補充。
「(響くんの家に行って良かった……!!)」
今度、行列上等で、二人に生ドーナツを買おうと思う。
「そういえば久住さん、たこ焼き、食べなくてよかったんですか?」
「あのな。たこ焼き食うために響ん家行ったわけじゃないんだよ」
「(そうなんだ)」
じゃあ、何のために……。
「(あ、まさか、私に会いに!?)」
──そんな馬鹿な。
こんなことを言えば、秒で呆れられる。
納得、疑問、そして納得。
私の思考回路は大抵これらで完結されている。
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