ささやいて、ハニー

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「(でも、そういえば、久住さんをこれ以上" 甘やかすな "って響くんは言ってたっけ……)」 でも、甘やかすなって、具体的にどうすればいいのだろう。 過去の恋愛は甘やかされることが多かった。だから。いざ、逆のことをしなさいと言われると難易度が跳ね上がる。 「(ということは、逆に私が甘えればいい……??)」 繰り返される、疑問、納得、疑問。 「久住さん」 「……なに」 そしてたまに、試み。 立ち止まると、久住さんもまた立ち止まってくれる。見あげると、すっと横に流れた瞳と出会う。 「私、今日沢山歩いたんですよね。響くんの家に来る前は、お友達とカラオケで歌ってて、午前中は講義で大学の中を移動して、もう、くたくたなんですよね」 「へえ、おつかれ」 「久住さん、力持ちですよね?」 「普通じゃないの」 「あーあ、優しい誰かが、おんぶして下さると嬉しいなあ~」 「歩かないなら置いてくけど」 久住さんはそう言って、振り向きもせずに歩いた。 「(だめか)」 甘える作戦は失敗に終わった。 「…………羽仁」 ──と、思っていれば。
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