ささやいて、ハニー

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誘惑…………誘惑? 私が久住さんを誘惑したとして、はたして、久住さんが乗ってくれるのか甚だ疑問だ。 笑われる、引かれる、呆れられる。 この三択しか考えられない、まるで無謀な挑戦。 上目遣いでもすればいいのか。それとも…… 久住さんという強敵を前に、小物な私が考えあぐねる間に、久住さんは私に近寄るので、咄嗟に一歩後退した。 「……あ、明日の朝ごはんは、みそしるおたくの私が一番お気にいりのおみそ汁です!」 「起きるの俺のが早いけどな」 獲物を逃がさない強敵はすかさず一歩踏み込む。狩られる側の私は一歩逃げる。 「う……ま、マッサージ付きです!私、マッサージ上手って褒められたんですよ」 「こないだ整体行ったわ」 じりじりと詰め寄られて、とうとう背中は壁にぶつかった。不敵な笑みを浮かべた久住さんが顔を寄せる。そんなに顔を近づけて、私が倒れたらどうするつもりだ。 「(……そうだ、)」 一応、切り札があった。 「今日、デートだって思ってたから……紐です!」 「へえ……」 久住さんが私の腰に手を回した。大きな手が骨盤の辺りを撫でると、反応する簡単な身体。
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