ささやいて、ハニー

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仕方ないと思う。だって、久しぶりだもん。 「解いてもらうの、期待したわけ」 ──……私だって、好きな人に触られたい女だもん。 「……期待、しました」 こうなればもう、勢いというものに身を任せて久住さんの肩に腕を回した。身軽な私に失うものはほとんど無い。 私に優しくない、でも、とびきりタイプな王子様と目が合う。 「だから責任……とってください」 捨て身のおねだりを、久住さんは笑う。 やだ、やだやだ。 "嫌だ"って言って、拒絶しないで。"わかったよ"って爽やかなエフェクトを撒き散らした笑顔で私を受け止めて欲しいのに、この反応は、経験上" NO "と言われるに違いない。 だって……付き合ってまもない頃に提案した、水族館デートに対する拒絶感に似ているもの。 その時と同じ。久住さんは何も言わなかったけれど、だれがお前と行くかって、雰囲気がそう言っていて。堪えきれずに、別の場所にしましょう!って、結局定番のドライブデートとラブホコースで落ち着いたの。 ──……しかし。 「つまらなくなったら帰る」 "NO"を、予想していた私に朗報。 同時に、"デートの時は紐 "という情報が脳内ストレージに刷新された。
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