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その駅で別れた私たち。
『宇宙百貨』に行くはずだった私は、全国の銘酒が揃う酒屋に路線変更した。
せっかく憂先輩からもらったおしるこ。
おしることコラボできる日本酒があることを思い出したのだ。
三重県の銘酒『福和蔵』。
おしるこで割れば、絶対に美味しいはず。
なぜかって?福和蔵はあずきで有名なお店が作っているからだ。
家に帰って、早速福和蔵を、漆の器に入れたおしるこで割ってみる。
缶のおしるこだから、あずき感は少ないけれど、福和蔵がそれをカバーしてくれているように酸味と甘みのハーモニーが口いっぱいに広がる。
両手で器を持って嗜む日本酒は、まるで祝い酒のよう。
私は少し高めの位置に掲げて、静かな部屋でひとり、つぶやいた。
「私の恐怖症を爆発させた先輩との出会いに。かんぱい。」
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