77人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫か?顔色良くないし。刈谷んちってけっこう遠いんじゃなかった?」
「うん……だいじょうぶだよ……」
「いやよくないだろ。」
むがみんが私の腕を引いて、壁際まで連れて行って壁にもたれかからせてくれる。この日本語、合ってる?
いかんなあ。彼女持ちのむがみんに迷惑かけちゃ。
「うちこっから割りと近いし、うち来れば?」
「え?」
「多分春風が来てるし。あいつがいれば刈谷も安心だろ。」
「……いや。さすがに二人の邪魔しちゃいかんよ」
「同期に遠慮すんな。むしろ春風喜ぶって。」
同期の優しさが身に染みるけど。二人の愛の巣にお邪魔する図を参照すれば、刈谷の気まずさが目にプカプカと浮かぶ。
「タクシー使うか。」
むがみんが私の手を引いてくれて。
私は「いいよー。電車の中で寝てくから。」って言っているのに、この馬鹿力独走者の耳には届かない。
だから、独走者には独走者で対抗するのが正解みたいです。
目の前に現れた西の独走者、憂李月で。
「………どうしたんですか。」
「わっ、……す、憂さん?」
人には無関心なむがみんが、珍しく目を丸くしている。
そして夜風があるのに心なしか頬を赤くしている?え?憂先輩の美貌に見惚れちゃった?わかるわかる。
最初のコメントを投稿しよう!