ねえ先輩。ギャップ慣れするにはどうしたらいいですか?

4/23
前へ
/151ページ
次へ
「大丈夫か?顔色良くないし。刈谷んちってけっこう遠いんじゃなかった?」   「うん……だいじょうぶだよ……」 「いやよくないだろ。」    むがみんが私の腕を引いて、壁際まで連れて行って壁にもたれかからせてくれる。この日本語、合ってる? いかんなあ。彼女持ちのむがみんに迷惑かけちゃ。  「うちこっから割りと近いし、うち来れば?」 「え?」 「多分春風が来てるし。あいつがいれば刈谷も安心だろ。」 「……いや。さすがに二人の邪魔しちゃいかんよ」 「同期に遠慮すんな。むしろ春風喜ぶって。」   同期の優しさが身に染みるけど。二人の愛の巣にお邪魔する図を参照すれば、刈谷の気まずさが目にプカプカと浮かぶ。 「タクシー使うか。」 むがみんが私の手を引いてくれて。 私は「いいよー。電車の中で寝てくから。」って言っているのに、この馬鹿力独走者の耳には届かない。 だから、独走者には独走者で対抗するのが正解みたいです。 目の前に現れた西の独走者、憂李月で。 「………どうしたんですか。」      「わっ、……す、憂さん?」 人には無関心なむがみんが、珍しく目を丸くしている。 そして夜風があるのに心なしか頬を赤くしている?え?憂先輩の美貌に見惚れちゃった?わかるわかる。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加