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「爽ちゃん。久しぶり。」
「お、お久しブリデス。」
両手を前に出し、私に低層のハイタッチを求める憂先輩。
ねえ、手を合わせてくれないの?と、目を細め首を傾ける姿がちょっと愛おしい。
私が両手を、そっと先輩の手の平に合わせる。
すると、にぎにぎと、私の指に指を絡めて憂李月なりのスキンシップを図られる。経理部の地味な暗さが、ふわりと緩和される。
「今日の歓迎会、来る?爽ちゃん来んなら俺も行かんし。来るなら、俺も行く。」
「あ、はい。わたし、一応歓迎者なので。行きますよ?」
「そっか。えらいな。歓迎会も仕事の一貫として認識してんやな。」
そう言って、私の頭をそっと触れるように撫でる先輩。
いやいや、歓迎会行くの、当たり前やんなあ。
先輩が私へのスキンシップが激しいことは前々から知っている。でもまさか、社内でもこれだとは思わず。
かといって手を払えない私は、周りの視線に居心地の悪さを感じるばかりだ。
「初めての場所やし。緊張しよる?」
「す、少しだけ、」
「何かあったら、すぐ俺に頼ればええから。」
「は、はい。ありがとう、ございます……。」
「ん。じゃあまた夜。楽しみにしとる。」
ん。私も先輩のお陰で楽しめるようにしとくよ。
まぶたを半分下ろす、先輩の甘い笑顔。冷淡冷徹無表情、いずこに?
刈谷爽の男事情は、おそらく唯一むに。
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