あかりの家

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【友人 絵里】 やっぱり気に食わない女。 「少し待って」の返信に苛立つ。 この女はいつも上からだ。 あの時からずっと嫌いだった。 堂々とみんなに「注目を集めてる」なんて言うなんて。 よっぽど自分の見た目に自信があったんだろう。 最初は私と同じ引っ込み思案な性格だと思っていたけど、あの女は私とは決定的に違うものを持っていた。 それは、周りの目を惹くような見た目だ。 残念ながら悪い意味じゃない。 いつも前髪が長くてみっともない服を着ていたけれど、よく見ると顔立ちは整っていてスタイルも良かった。 それに気づいて密かにあの女を目で追っている男子は何人もいた。 なんだか気に食わなくて、体育で教室に誰もいない時、あの女の引き出しに同級生の持ち物をわざと隠して何度も嫌がらせしたのに、あの女が怯むことはなかった。 それだけじゃない。 あの女は母親からも愛されていた。 家に行った時、居間にあの女が描いたカラフルな家の絵が飾ってあった。 母親が嬉しそうに「あかりがプレゼントしてくれたの」と言っていた。 それを聞いてまんざらでもないあの女の表情が憎らしかった。 あの女がインスタを始めた時も、居場所を奪ってやろうと思って適当にネット記事を書いたのに、結局母娘の絆が深まっただけだった。 私より環境は全て劣っているはずなのに、なぜかあの女は常に私より勝者だった。 何もかもが気に食わない。 でも、一番気に食わないのは自分だ。 結局常に、あの女に注目している。
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