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クラヴィスの怒っているような声に私が慌てているのとは裏腹に、クロルは一切焦っていなかった。
「クラヴィス様。失礼を承知で言いますが、マリーナ様をお一人にしたのは少し無用心かと」
クロルはそれだけ言って、その場を去っていった。
通常、礼儀に厳しいクロルが身分が上であるクラヴィスにあのようなことを言うなど考えられなかった。
それでもクラヴィスもあまり気にした様子はなくて、私と目を合わせて少しだけ不安そうな顔をした。
「一人にしてすまなかった。怪我はないか?」
「大丈夫ですわ。私こそ申し訳ありません」
クラヴィスは私に怪我がないことを知り、安心したようだった。
「ねぇ、マリーナ。次に行く場所だけれど、実は行きたい場所がもう一個あるんだ。付き合ってくれないか?」
クラヴィスの言葉に私が頷くと、クラヴィスは嬉しそうに微笑んだ。
クラヴィスが連れて行きたい場所までは結構距離があって、私たちは馬車で移動する。
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