第一話 沈没船 

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第一話 沈没船 

我は預言者。名も持たない預言者である。 全ての時空と世界線を行きする者。 そして今日もの扉の前なで迷える依頼人を待ち構えている。 預「おい!ゼウス今日の客人は何者だ?」 ゼ「映画の脚本家でございます預言者様」 預「ふむいつの時代からくるのだ?」 ゼ「β線の1995年からでございます預言者様」 預「で、今回の悩み相談とはなんだ?」 ゼ「預言者様それを聞いて 解決するのが貴方様の仕事でございます」 預「うむ!では入れ!」 時の扉が開き光と共に今回の 迷える子羊が現れた。 子羊「どうもその節は」 預「ん?お主以前にも相談に来たな?」 子羊「はい!預言者様のお陰で 映画は大ヒットしてシリーズ化までしました」 預「確か前回は1983年から来たな?」 子羊「そうでございます預言者様」 預「そうか思い出した!? グラサン筋肉マッチョサイボーグの監督か」 子羊「いえ…ター・・」 預 「おっとこの空間では名前や固有名詞は禁句で 言えばお主の存在は消滅する忘れたか!?」 子羊「さ・・左様で御座いました!」 預 「ほな。今日の要件はなんやねん? 手短に〜よろしゅ〜う!にゃ⭐︎にゃ⭐︎」 ゼ 「預言者様キャラがブレブレでございます!」 預「ゴホン・・今回も映画の相談か?」 子羊 「はい!前回預言者様の仰せの通りマッチョを 素っ裸にして助言して頂いたポージングで 登場させたら大ヒットしました!」 預「はっはっは!そうであろう 我の預言に失敗などという文字は無い!」 子羊 「は!今回は制作費用20億ドルまでかけられる超大作で御座います!預言者様!」 預「ふむふむ。 あーその映画てあれか?もしかして豪華客船の沈没事件の実話を元に作ろうとしてる?」 子羊「その通りでございます!流石預言者様! なので絶対にコケられないのでございます」 預「なるほど。なら安心したまえ!今から 言う事をすれば汝の願いは叶うだろう。」 子羊「どうすれば売れますか!?」 預「まず中身のある実話などは要らない! ヤリチンギャル男と尻軽ビッチの軽薄な男女の ラブストーリーメインにしなさい」 子羊「ラブストーリーですか? それなら純愛の方が良いのでは!?」 預「安心しろ軽薄で下等な人間共は 深く考えずにラブロマンスに メロメロになり涎を垂らするだろう!」 子羊 「・・民衆もそこまで馬鹿ではないのでは」 ゼ「貴様預言者様に楯突く気か!? なんなら貴様を蝋人形にして 地球(ほし)ごと消し去ても良いのだぞ!」 子羊「ひぃ〜それだけはご勘弁を!」 預「まぁ落ち着けゼウスよ」 ゼ「は!申し訳ございません取り乱しました」 預「わかればよい!助言を続ける」 子羊 「預言者様後は何をすれば!?なにか前回みたいなポージングとかあれば仰せつかりたい!」 は 預「船の船首でビッチ女に バカみたいなポーズを取らせろ」 子羊 「バカみたいなポーズ指南お願いします!」 預「うむ。よかろうこっちに来い!」 預言者は子羊に両手を広げさせ 腰に手をやる。 子羊「そ、想像以上にバカみたいですね・・」 預「うむ。だが、そのシーンがその作品の 名シーンであり象徴となるのであーる」 子羊「こ・・これが?」 預「なんだ疑ってるのかまぁ無理もなかろう」 ゼ「預言者様は絶対なのであるぞ!」 子羊「は!心得ています!」 預 「仕上げに壮大でムーディーな 音楽で愚民共はイチコロだぞ!」 子羊「うーむ人選に困りますなー」 預 「良かろう脚本と一緒に キャスティングも記述しとおこうではないか」 子羊「助かります!」 預「迷える子羊よ! 主の住所は前回と同じか?」 子羊 「いえ、それがお陰様でちょと 良い所に引っ越しまして…グヘヘ。」 預「ふむ。そうか。ならこれに記するが良い」 手渡された万年筆で紙に子羊は スラスラと住所を書きゼウスに手渡す。 預「よし!1週間後に 速達便でポストに投函されるであろう!」 子羊「あ、ありがとうございます!」 そう何度もお辞儀をしながら彼は 時の扉を開け元の世界へと帰っていった。 ・・・しまった。また無償で脚本と キャスティングまで引き受けてしもうたわ。 ゼ「流石は預言者様!無償で人助けとは!」 せやせや!計算通りである! 預「ふふ・・ゼウちゃん ワテやっぱかっこよかろう?」 ゼ「はい!もちろんでございます! しかしながら少々人間共を甘やかしのような…」 預「がっはは!案ずるでない!ゼウちゃん!」 ゼ「と、言いますと?」 預「人間の醜い処を知らしめる為に 実際は起こって無い殺人を脚本に織り込む!」 ゼ「うぉぉ!それはいい!」 そう興奮した後にゼウスは首を傾げる。 ゼ「しかし預言者様。本当にその 映画はヒットするのでしょうか?」 預 「ぶわはっは!ゼウちゃんは下等生物の 人間を買い被り過ぎだ! お涙頂戴のラブロマンスで莫大な 制作費で映像を作りハズレる訳なかろう!」 ゼ「ふむ・・そういうものなのか」 預「うむ!例えそれが内容が薄ぺらい コテコテのご都合主義であってもだ!」 ゼ「なるほど!流石でございます預言者様!」 預「・・・しかしだ。下等生物で愚かで軽薄な人間の中にも一部だが賢い人間がいる。」 ゼ「ふむふむ。時々そういう人間も私目が 生成しております故に致し方ありませんな」 預「そこでだ・・前言撤回で念の為 ある一部だけ実話のええ〜話いれとくわ!」 ゼ「流石は策士で御座います!」 預「がっはっは!これにて一件落着!」 パチパチパチ 拍手を送るゼウスと それにご満悦な預言者。 ーそして月日は流れ映画公開から数日後ー 預「ゼウちゃん!ほれ!みたことか!」 ゼ「は!大ヒットでございまする!」 預「しかし、まぁー何度観ても 長いだこの退屈でつまらん映画なのに 人間はつくづく 馬鹿よのーう!ゼウちゃんよ!?」 ゼ「はい!預言者様!実話の部分だけは 素晴らしかったですがこんなまやかしの物語りに本当に愚かですよね!」 預「ぶわっはっはっは!」 この後気分を良くした預言者の高笑いが 暫く空間に響き渡った。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 暗がりの部屋でTVの灯りと すすり泣き声が聞こえている 「・・うっうっ。ぐすん」 実はゼウスがこの映画に感銘を受け2枚組 DVD BOXを購入し夜な夜なハンカチ片手に こっそり何度も観てる事は誰にも秘密である。              第一話 完。
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