epilogue

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「黎に死なれたら困るからそんなこと言わないでよ」 「今死んでも悔いはないよ。もえに看取られながら死ねるなら幸せ」 「何言ってるの!まだまだ死んじゃだめに決まってるでしょ?!黎とはこれからもっともっと、たくさん幸せなことを経験していくんだから!」 ぴったりとくっついていた身体を離し、黎の両腕を掴みながら唇を尖らせた。 「っ、う、」 「もえ、すき」 再び抱きしめられ……いや、腕の中で押し潰されている状態で、もう1つの口癖を囁かれた。 「あ、黎ちょっと離れて?」 「やだ。もう少し」 「お願い。黎に渡したいものがあるの」 身を捩らせて黎の両腕からなんとか脱出し、部屋の奥に置かれていたキャリーケースの中から紙袋を取り出した。 「はい、黎。改めて18歳おめでとう!」 「えっ……プレゼント?」 「そう!誕生日プレゼント。早く開けてみて?」 きらきらの瞳を見開かせて紙袋を受け取った黎は、その中に入っていた長方形の箱のラッピングを丁寧に解いていく。 「!」 「どうどう?」 「めっちゃかっこいい。新しい財布が欲しかったからすごく嬉しい」 「よかったあ。実は碧葉にスパイしてもらったんだよね〜!」 黎に渡したのは有名ブランドの長財布。黒のシンプルなデザインで、ブランドロゴが小さくワンポイントで印字されているところもシャレだ。
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