epilogue

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「毎日使ってくれると嬉しい」 「もちろん。寝る時も枕元に置いて一緒に寝る」 箱から取り出した財布を大事そうに胸に抱えながら、「本当にありがとう。一生大切にする」と黎は優しい笑みを見せてくれた。 「もえ、俺も渡したいものがある」 「えっ……?」 「ちょっと待ってて」 長財布の箱をテーブルの上に置いた黎は、私のキャリーケースの横に置いてある自分のボストンバックへと歩いていく。 再びこちらに戻ってきた黎が手に持っていたのは、真っ白なリボンが付けられた小さな箱。その箱に印字されている横文字は、結婚指輪でも有名なブランドの名前。 「はい、もえ。開けてみて」 「えっ?え、?」 「はやくはやく」 突然の逆サプライズに頭が追いつかないまま、手渡された箱のリボンを解いていく。箱を開けるとそこに入っていたのはリングケース。そのリングケースをゆっくりと開いた。 ケースの中でキラキラと輝きを放っていたのは、ピンクゴールドのピンキーリング。 「右手の小指につけてみて?」 「うん……!――わっ、ぴったりだ!」 私の小指にぴったりサイズのリングを、手をかざしながらにやにやと見つめる。 「実は俺も、あおにスパイお願いしてた」 「えっ、もしかして指のサイズ?」 「そう。あおに聞かれたでしょ?」 黎と付き合ってすぐの頃、碧葉と指輪の話をしたことがあった。その流れで薬指と小指の号数を教えたけど、まさかあの時の会話がこのサプライズに繋がるなんて夢にも思っていなかった。
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