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「今日のデュオ戦、瀬戸くんと私がペアね!」
美月が嬉しそうに声を上げた。今日は部員たちが二人一組で戦うデュオ戦の形式で、僕と美月がペアを組むことになった。他の部員たちはすでに準備を整え、ゲームのルールを確認し合っている。
「よろしく頼むよ、美月」
僕は少し緊張しながらも、今まで以上に前向きな気持ちで美月に声をかけた。これまでの個人戦やチーム戦での経験が少しずつ自信に繋がり、今日はなんとか美月の力に少しでもなれればと思っていた。
ゲームが始まると、美月はすぐに計画を立て始めた。彼女は相変わらず元気で、どこか頼もしい。
「まずは資源を集めて、次のステージに進む準備をしよう。私たちは慎重に行動しながら、相手チームを出し抜くんだよ!」
彼女は自信満々にそう言いながら、ゲーム盤上のコマを動かしていく。僕はその計画に従い、サポート役に徹することにした。これまでと違い、今回は彼女の言う通りに動くだけではなく、自分でも考えながら進めることができる。
「このタイミングで資源を使うのはどうだろう?」
僕は迷いながらも、美月に意見を尋ねた。彼女は一瞬考えてから、にっこりと微笑んで頷いた。
「うん、いい考えだね! それで一気に次のステージに進もう!」
僕の判断を認めてくれたことで、自信が少しずつ湧いてきた。美月の戦略は確かにしっかりしているが、そこに僕自身の考えを加えることで、より柔軟に対応できるようになってきた。今までとは違う感覚だ。
ゲームが進むにつれ、僕たちは少しずつリードを広げていった。相手チームの動きを読みながら、次の手を考えるのは難しいが、それでも美月との連携は良好だ。
「ここはどう動くべきかな……」
僕はゲーム盤をじっくり見つめながら考えた。美月の計画を尊重しつつも、自分なりの判断を加えたい気持ちが強くなってきていた。
「瀬戸くん、今がチャンスだよ! 一気に攻めよう!」
美月の声に押される形で、僕は決断を下した。彼女の戦略に従いながらも、僕自身の判断を少しずつ加えていく。結果として、僕たちは他のチームに対して優位に立つことができた。
「瀬戸くん、すごいね! 今日は特に調子が良いみたい!」
美月は満面の笑みで僕を褒めてくれた。僕は少し照れくさそうに頷きながらも、彼女の言葉が心から嬉しかった。
「いや、まだまだだけど……でも、少しは分かってきたかも」
そう答えると、彼女はさらににっこりと笑った。その笑顔には、今まで以上に強い信頼と親しみが込められているように感じた。
「瀬戸くんと組むと、本当に楽しいよ! お互いにサポートし合える感じがすごく良い!」
美月のその言葉に、僕は少し驚いた。いつも彼女がリードしているように感じていたが、彼女も僕のことを対等なパートナーとして見てくれているのかもしれない。そう思うと、心の中で何かが温かくなった。
ゲーム終盤、僕たちは相手チームを追い詰め、あと一歩で勝利を手にするところまで来ていた。僕は集中し、慎重に次の一手を考えた。ここで勝利を逃すわけにはいかない。
「瀬戸くん、信じてるよ! あなたならできる!」
美月がその言葉を口にした瞬間、僕は一気に動いた。彼女の言葉には、単なる応援以上のものが感じられた。そこには、僕に対する信頼と友情が確かに込められていた。
そして、ついに僕たちは勝利を収めた。二人で協力し合い、最後の瞬間まで諦めずに戦った結果だ。
「やったね、瀬戸くん!」
美月が飛び跳ねるように喜んでいる姿を見て、僕も自然と笑みがこぼれた。勝利そのものも嬉しかったが、それ以上に、彼女との連携や信頼関係が深まったことが何よりも嬉しかった。
「本当にありがとう、美月。君がいなかったら、絶対に勝てなかったよ」
僕は心からそう伝えた。彼女は少し照れくさそうに笑いながらも、僕の言葉を受け取ってくれた。
その日の帰り道、僕はふと考えた。これまでゲームは単なる勝ち負けの世界だと思っていたが、今はそれだけじゃない。美月と一緒に戦い、協力し合うことで、僕たちの間に友情のようなものが芽生え始めている。
「ゲームって、こんな風に人との繋がりを感じられるんだな……」
僕は心の中でそうつぶやき、これからも美月と一緒にもっと多くのことを学んでいきたいと思った。そして、その友情を大切にしながら、さらに深めていけるように努力しようと決意した。
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