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アイ
「大好きだよ」
「私だけ?」
「うん」
昼下がりの繁華街。
人でごった返す街中を大好きな彼氏と手を繋いで歩く。
ふわふわのミルクティー色の髪。
琥珀色の瞳。
可愛くて端正な顔立ちをしている彼はベーシスト。
名前は陽。私と同じ23歳。
彼は私の幼なじみであり、7年付き合っている彼氏でもある。
幼少期からずっと一緒で社会人になった今でも隣にいる。
思いやりがあってマメで沢山甘やかしてくれる、素敵な彼氏だ。
だけど、優しく微笑む陽には私以外にも彼女がいる。
把握しているだけで4人。
私はアイ。
陽とは1番長く付き合っているし、間違いなく本命は私。
だから会う頻度も他の彼女より多い。
「ねぇ、お願いだから他の彼女と別れてよ」
「絶対嫌だ」
眩しい笑顔で残酷な言葉を吐き捨てられる。
私だけだなんて言っておいて嘘ばっかり。ムカッとするし、悲しくなる。
でも、無理。嫌だけど、別れられない。
大好きなんだもん。抱き締められると許しちゃう。
本音を言えば、嫉妬塗れ。
他の彼女の存在を消したくて仕方ないし、今すぐ別れさせたい。
排除したい。
きっと他の彼女達もそう思っている。
だからホテルに連れ込んでキスマークを付けまくった。
他の女は邪魔。陽は私だけのモノなの。
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