いち

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なに、あれ。 普通の日常的な呟きに紛れて突然出てきたセンシティブな写真や動画が貼られたものが、軽く画面をスクロールしただけでいくつもあった。 恐らくチルくんと言う人が自ら撮影した、情事。 出会った女の子が裸体で乱れている様子が写ったかなり過激なもの。 とんでもないものを見てしまった。 雨に濡れた体も、それを見たせいで暑くなってきて、きっと顔は真っ赤。 やはり私には知らなくていい世界だったと思う。 あれは所謂裏垢というやつだ。 忘れよう、これ以上踏み込んではいけない。 気持ちを切り替えて、別の情報を見ようと反射的に閉じてしまったアプリを開く。 チルくんのアカウントを開いたままだったので前のページに戻ろうとしたタイミングで新たに呟きが更新された。 〈大雨だからって来れないとかナメすぎ〜俺だって外いんだけど。まじで1人無理、○○駅近くにいる人いないの?〉 「………!」 その呟きを思わず二度見してしまった。 チルくんがいう駅が、今まさに私が足止めを喰らっている駅だったからだ。 〈ねぇ寂しい。みんな明日休みでしょ?暇でしょ?チルくんでチルしよーよー〉 〈この大雨の中来てくれたら俺のあったかーい体で抱きしめてあげるのに。仕事お疲れ様って、頑張ったねっていい子いい子してあげるし、いっぱい、いーっぱい癒してあげるのに〉 どうしても相手が欲しいのか駄々っ子の様に連投するチルくん。 私には知らなくて世界。 これ以上踏み込んではいけない。 そう思っているのに、彼の呟きから目が離せない自分がいる。 そんな訳ないのに、まるで私に言っている様で。 いや、私が今言って欲しい言葉をチルくんが呟いているんだ。
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