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てっきり最後まですると思っていただけにチルくんの行動に堪らず声を上げた。 そんな私を見てチルくんはチルくんで、驚いたような顔をしていた。 「え、だって…今日はおねーさんの事癒して、薬無くても眠って欲しいかったから…だから俺の事なんて別に…」 目を泳がせてしどろもどろに小さく呟くチルくんはやはり自分の事など考えていなかった。 きゅ、と胸が締め付けられる感覚に、気づけば少し離れたところで座るチルくんの側まで行って手を握った。 俯いてそのまま黙ってしまったチルくんは、私に手を握られたことによってハッと顔を上げた。 「ねぇ、チルくん。どうしてそんなに自分の事蔑ろにするの?…私の為って言ってくれるのはもちろん嬉しいけど、私ばっかりじゃなくてチルくんもその…もっと、あの…甘えていいんだよ?」 「え…?」 チルくんに出会ってからずっと感じていた違和感を正直に伝えた。 ただ私自身こう言う形で誰かと会うなんて初めての事で、この界隈ではチルくんみたいな考えの人が一般的なのかもしれない。 …でもやっぱり私にはそれがよく分からない。 チルくんはあんな事言っていたけど、お互い同意のもとなのだから相手次第、相手優先というのはおかしい。 だから私ばかりではなくてチルくんがどうしたいのか、チルくんの意思を知りたい。 そう思って言ってみたが、チルくんを見れば目を見開いたまま固まってしまっていた。 「っご、ごめんなさい…余計な事…ただ、私もチルくんにっ…!」 「……」 驚きと、動揺と、何かを言いたげな表情を見てハッとした。 チルくんの事何も知らないくせに諭すような事を口走ってしまった事に後悔してすぐに謝った。 もしかしたら何か理由があってチルくんはこうなってしまったかもしれないのに私は… みるみると顔が青ざめていくのが自分でも分かり、後悔の念に苛まれていると、握っていたチルくんの手が強く握り返してきた。
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