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「チル、くん…っ私…」
「ふふ、だいじょーぶ。おねーさんには俺がいるよ、何にも心配いらない。今ここに、俺とおねーさんの邪魔をする奴なんていないんだよ」
だから安心して?ゆっくり深呼吸しよ?
チルくんがそうやって私を優しく優しく私を甘やかしてくる。
きっと私の方が年上なのに、情けない、恥ずかしいって心の中では思っているのにいつの間にかその感情さえもシャボン玉みたいに弾けてどこかに消えてしまう。
まるで夢のよう。
最高の、夢心地。
このまま体も、心もドロドロに溶かして欲しい。
現実世界から逸脱したような感覚。
それが私には心地が良くて堪らない。
「……ねーえ、考え事?俺のキスは退屈?」
「…っえ、あ、ごめっ……んぅ!?」
チルくんの不満そうな声と表情でふわふわとした思考が強制的に戻されたと思えば、ぬるりと入ってきた舌で激しさを増したキスが快楽へと導いていく。
「ん、は…もっと、口あけて?」
「っん、…あっ…」
強引だけど乱暴ではなく、右頬に添えられた温かい手と、もう片方の手で終始優しく頭を撫でられながら深いキスを交わせば簡単に堕ちていくのが分かる。
「おねーさ…、はは、もう蕩けてる。かわいーね」
でも、それが心地いい。
あの時、たまたま見たSNSでチルくんを知って、そのチルくんがたまたま会える人を探していて…そこにたまたま謎の行動力を発揮させた私が連絡を取った。
そんな偶然が重なった事によって出会った私とチルくん。
あの日は本当に辛くてどうしようもない日だったけれど、そのおかげで出会えたと思うと結果良かったのかもしれないと思う。
そう、あの日は朝の占いも最下位で天気も悪い。
日頃から仕事に追われて心身ともに疲労が溜まりに溜まった金曜日。
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