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まぁでも…そりゃあ、そうだ。 初対面の見知らぬ人に言われたところで迷惑なだけ。 このまま言い続けたとしてもきっとチルくんは怒ったりしないと思う。 その代わりに悲しい顔をしたまま困らせるだけだ。 チルくんの考えを否定したい訳でも、正したいつもりもない。 でもこのままじゃ何か嫌だ。 だから私は言い方を変えた。 「……、じゃあ…」 「っ…、へ…おね、さん…?」 チルくんの後頭部に手を回し、そのまま引き寄せて私からキスをした。 すぐに離れると、目をまんまるくさせたチルくんと目が合う。 「今だけでいい。私のそばにいる時はチルくんの意思をちゃんと持っていて欲しい。私からのお願いだったら聞いてくれるって事だよね…?」 「そ、れは…、………おねーさんは本当にそうして欲しいの…?」 明らかに動揺を孕んだ揺れ動く瞳で私を見る。 そんなチルくんの動揺や不安をこれ以上増幅させないように言葉を選ぶ。 「うん、私はみんなに合わせたチルくんじゃなくて、本当のチルくんがいい」 「ほんとう、の……?」 「あぁ…ごめん、また困らせちゃってるよね。とにかく、私はチルくんの気持ちを聞きたい。教えてよ、チルくん」 言葉を選ぼうと思ったものの難しく、結局チルくんの頭の上にはハテナマークがいっぱい浮かんでいそうな表情をしていた為、素直に気持ちを伝えた。 「っ、俺は…」 キョロキョロと目を泳がして何かを言いかけたが口をつぐんでしまった。 いたたまれなくなったのか私を勢いよく抱きしめた。 「っ…、チルくん?」 「…〜っ、本当にいいの?」 今日抱き締められた中で1番力が強く、きっとチルくんの中で葛藤しているんだと思った。 きっと色々考えた末にチルくんは私に遠慮気味に問いかけた。 「えっ?」 「……つづき、したい」
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