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ユーメ ①
メッセージアプリを閉じた
ゆりかもめがユーメを運ぶ
お台場だった
小中高とサッカーで心身を鍛えてきたユーメはフットサルチームに所属していた
練習を終えて帰宅の路を辿っていた
ゆりかもめから終点の新橋駅で降車する
東海道線で横浜まで行って、京浜東北線で関内で下車する
そこから10分弱歩いたところにユーメが暮らすアパートがある
軽い振動を右の太腿が受信して、メッセージアプリを開く
「チッ、なんだよ」
(わかったよ、おやすみ)
そのままニュースアプリを立ち上げて、スポーツ関連の見出しをスクロールしていく
・・・・
したかったな
・・・・
ゆりかもめが新橋に到着して下車した
暗闇の中を行き交うスーツ姿を横目にしながら、烏森口の改札へ向かう
来年に迫った就職活動が脳裏をよぎり、フットサルで高揚した気分を湿らす
改札を通り京浜東北線へ向かった
東海道線の方が早く帰宅できるだろうが、彼女と会えないなら急ぐこともないから
乗換がない京浜東北線を選んだ
ホームに上がり視界が水色を捉えるのを待つ
程よく2,3分したころに、シルバーとスカイブルーの車両の足音がホームに轟き、停車した
この時間だし座ることができるほど空いてはいなかったから、乗り込んだ反対側のドアにもたれかかるように立った
頭をからっぽにして
車窓から見える景色を眺める
いつもの景色は代わり映えはしないが、落ち着くし、生活の一部だった
来年にはその車窓の風景にはネクタイをしている俺が映るんだろう
この変わり映えしない平穏の景色をリクルートブラックスーツが湿らしてしまうのだろうか
現実から逃げるように、目を瞑る
目を閉じながら、ハタチの欲望を乾かす
関内のユーメのアパートで彼女を抱いて、その後あのラーメン店まで散歩してコッテリを食べて、
彼女と手を繋いで家路を辿る
帰宅して風呂に入って、トコに着く
明日の学校は起きた都合で考える
ベッドの中で彼女の脇腹や太ももを弄りながら、心地良さの中でグッスリと夢を見る
そんなプランだったのに
彼女が今日来る筈だったのに
・・・・
関内駅に着いて田舎の親が借りてくれたアパートに向かって歩く
メッセージアプリを開いて
彼女にメッセージを送る
(いつ会える?)
やはり
SEXに会いたくて事を急いた
日取りをはっきりさせたかった
それによってスケジュールを組まないといけない
前回試しに7日我慢したら、
めちゃくちゃきもちかった
・・・・
メッセージを受け取ったイケルは
(土曜日会えるよ)
・・・・
4日後か
右手を握りしめた
20歳の10月が始まる
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