裏と表

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裏と表

 秋風が少し冷え、太陽が少し顔を出す頃。  フォーマルスーツに身を包み、出勤支度をしながら白石(しらいし) 和也(かずや)はコーヒー片手にスマホを新聞代わりに目を通す。  普段は天気や食事系の記事しか見ないが【警察の不祥事】が話題となり炎上しているSNS。『死ね』だの『クズ』だの『何が正義の味方だ』。警察を貶し批判する声に腹が立つも「」とブツブツ言いながら画面をスクロール。次にウェズサイトの掲示板を探ってみるも似たコメントで溢れかえっており、「はぁ」と深いため息をつくや画面を消す。 「炎上商法、晒し系、自警団。何が悪で何が正義か分からんな」  真っ暗な画面に映る彼の表情は嗤っており、それに気付きたのか右手で隠すや左手で顔を覆う。「ククッ」と嗤いを堪え、「ハハッ」と漏れた声は何処か邪悪で――。  ブーッブーッと家を出る時間だと知らせるスマホのアラームを素早く消し、一人にしては広すぎる4LDKの家を出た。
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