裏と表

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「記者も大変だな。朝から押し掛け取材なんて……いや、暇なのか」  自転車で勤め先である署に向かうや門の前に群がるは記者。【不祥事】=【エサ】。なんて考え方は良くないが和也には記者は【エサに群がるハエ】のような目で見ていた。  勤め先は不祥事に対して関与してないが“同じ県”または“ネタ探り”のつもりだろう。たまたま表門から入ろうとした職員に聞き込みしてはしつこく追いかける姿に「暇なんだな……見てて呆れる」と毒を吐く。   記者、報道陣は―― 【ネタが得られれば嘘・本当構わず情報を流す】。  これは一部かもしれないがネタのために。その他諸々を含めたら尚更――無責任な行動をする彼等が和也は嫌いなのだ。 「裏から入るか。関わりたくもない」  見苦しさに表から入るのを止め、迂回して裏から入ると同僚や部下も同じ考えだったらしく「白石さん、おはようございます。朝から嫌ですね……」と部下の呼ぶ声に足を地につく。 「そうだな。『糞な警察に恥を知れ』と言いたいが……俺も警察だからな。職が汚れる」  カチッとロックを掛け、鍵を抜くや「どうやって追い払います?」と無駄な言葉にため息。「ほっとけ。俺は奴らの相手をするより未解決の事件や進歩している事件に目を向けろ。そのうち諦めるだろ」と震えるスマホをスラックスのポケットから取り出す。  歩きながら画面を点けると『15618513』とメッセージ。名前はないが和也は相手を知っているようでフッと鼻で嗤っては同じく『15618531』と返す。 「朝からこれか……疲れるな」
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