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憧れのキャンパスライフと綺麗なお姉さんと
「隣、いいかな…」
大講義室で座る俺に声をかけられ顔を上げると、この前の天女様、京香さんだった。
「あ…どうぞ…?」
ガッチガチに固まってる俺を、またあのいい匂いがフワッと包み込み、俺を惑わす。
「ねぇ、今日は、途中まで一緒に帰らない?」
「え…?いいけど…。」
教授の講義が始まったのに。もう、俺の頭ん中は今からその事で一杯だ。
何で俺、誘われた?特にそれに深い意味なんか、無いんだよな?勘違いしちゃいけねぇよな…。俺…。
隣でスクリーンに目を凝らす彼女の横顔があんまりにも眩しすぎて、資料の内容も教授の説明もなにも入ってこない。
終業の鐘がなるなりあわてて荷物を纏め、一緒に帰る気満々で待ち構える。
「あれ、もしかして今日、急いでた?」
「ぜ、全然?」
クスッと笑う彼女が微笑むだけで、もう天にも昇る気持ちだ。
二人で駅までの道を歩きながら二人でいろんな話をした。
時々こちらに寄越してくるその照れたような視線がぶつかる度に俺の心臓が跳ねる。
こういうのずっと夢見てたんだよ、俺は。
いつも、周りの奴らの世話ばっかりする立ち回りの俺にも、ついにチャンスが訪れたのか?
京香さんの包み込んでくれるようなあったかい雰囲気は、いつも誰かに甘えられるばかりで必死に一人でたっていた俺が、ひょっとしたらその柔らかい胸の中で、弱い自分を出してもいいんじゃねぇのかなって思わせてくれた。
俺の中で勝手に思い描く、綺麗なお姉さんへの憧れと妄想が膨らむ。
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