心の中を読まれてる

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心の中を読まれてる

「もう、オネェちゃんは帰っていいよ…。」 「は?」 「だってもう、仲立ちは必要ないもん。ここからはあたしと宮野の問題だし。オネェちゃんはこれから先のあたし達の事にはもう関係ないもん。ね?宮野?」 「あ、ハハハ…まあ、こういうのは本人同士の問題、では、あるけれど…」 「ほらほら、ね?だから帰っていいよ、二人でちゃんと話すから。」 「でも…」  気まずそうに俺を見てくる笹木ちゃんがなんだか居心地悪そうで気の毒に思えた。 「そうだね、大丈夫だよ、心配しなくて。帰ってもらっても構わないよ?」  妹思いの笹木ちゃんのためにそう言った。なのに何を勘違いしたのか。 「ほら、宮野も…もうお邪魔虫は消えてほしいって♪」  って、おい!エミリちゃん…! 「え…、お邪魔虫って…。」 「いや…、その…、そう言う意味じゃなくて…。」  焦ってそんな風に言ったからなんだか余計に気まずい。なんだかこれじゃ、本当にそう言う意味で言ってしまったみたいじゃないかっっ。 「そう、だね…。あとは二人で話してみて…。エミリ、調子に乗るんじゃないよ?」 「はーい。」  笹木ちゃんが俺を気にしながらそそくさと帰っていった。 「で。宮野?どうしよっか。この後。」 「え?この後も何も、俺はまだオッケーしたわけじゃないし。」 「あれ?今、まだって言った?言ったよね?じゃあ、まだってことはそのうちオッケーするってことじゃん。」  ケタケタ笑いながら嬉しそうにクリームソーダをストローでくるくる回すエミリちゃんを可愛いだなんて思ってしまった。  参ったなぁ…。痒くもないのに頭をポリポリ掻く俺にまたあのおちょくるような顔。 「あれー?いま、参ったなぁ、とか、思わなかった?」 「え!?」 「ほーらね。参ったなぁ、はさ。断るつもりで来たのに、参ったなぁ、断れないよ…じゃない?」 「うぅっっ…」  完全に俺の心の中読まれてる…。 「ほら、図星って顔してる。わかりやすいね、宮野って。可愛い。」 「か…、可愛い…?」  思わずその言葉に目を白黒させた。俺、年上だぞ?しかも俺はいつだって兄貴的なポジションだ。人を可愛いと思うことはあっても、可愛いなんて言われたことなんかねぇぞ? 「もー。何赤くなっちゃってんの、顔、真っ赤だよ?」  ケタケタと笑うエミリの方が、ますます可愛くみえた。
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