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図書館に行くと、大きな本棚がいくつもあった。皆、黙々と本を読んだり勉強したりしているようだ。
ソアたちはメガネをかけた男を捜しながら歩く。
奥まで行くと、メガネっ子が窓際の席で熱心に本に向かっていた。年は14~15くらいだろうか。
ソアはメガネっ子に恐る恐る声をかけた。
「あの、リブレ、くん?」
「はい?」
メガネっ子が振り向いた。どうやらリブレで間違いないようだ。
「ちょっと、話があるんだけどいいかな」
「あなた方は?」
「武器屋の店主から君がここにいると聞いて……」
「父からですか? ふむ、分かりました。少し外に出ましょうか」
外に出て、ソアは事情を説明した。
「冒険者、ですか?」
「どうだろう。俺たちのパーティーに入ってくれないだろうか」
いかにも本好きで本に囲まれて育ちましたという感じだが、果たして冒険などに興味があるのだろうか。
すると、ソアの予想とは逆にリブレは目を輝かせた。
「ええ、ぜひ!」
「え、ええ、いいのかい? 誘っておいてなんだけど、そんな簡単に決めてしまって」
ソアの心配をよそにリブレは全身に喜びを溢れさせているように見えた。
「僕、実は冒険というものに憧れていたんです。僕は、昔から本が好きで、ここにある本も全て読み尽くしてしまって……」
「それはすごいな」
「恐縮です。ただ、お陰で知識は増えましたが本だけでは物足りなくなったのです。どうせなら実物が見たいと!」
拳を握り締め、力説するリブレ。
「分かる、分かるわよ!」
エノンも同じように拳を握り締め同調する。
「冒険者ってがつがつして怖い人たちばかりかと思っていましたが、あなた方となら安心して旅ができそうです」
「冒険者も色んな人がいるからねえ」
エノンが顎に手を添え、感慨深げに呟いた。
「それで、今から一緒に行きますか?」
「それがパーティー登録にはあと1人必要なんだ。心当たりがあれば教えてほしいんだけど」
「そうですね、旅に出たそうな人か……、あ、花屋のリラさんなら協力してくれるかも」
「花屋?」
「花とか薬草の知識が豊富な方ですから、旅には心強いと思いますよ」
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