プロローグ

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あれは十二年前のクリスマスの日。 今日は学校の終業式。 お母さんとクリスマスケーキを作る約束をしていた。 友達を別れ、家路を急いだ。 「ただいま…お母さん」 いつもなら、「お帰り」と玄関先で迎えてくれる母の姿はなかった。 私は首を傾げながら、リビングへと入っていく。 リビングのクリスマスツリーの電飾がカチカチと瞬きするように点滅を繰り返す。 ファンヒーターはオフのまま。 室内には冷たい空気が漂っていた。 「!!?」 母は自身が流した血の海の中で仰向けに倒れ込んでいた。 「お、お母さん!!?」
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