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私の申し出に頷いた灯嘉様は、隣に移動して参考書に目を通す。ここは変に強がらず、現役の人の力を借りた方が円滑に勉強進むだろう。 「応用問題だね…解き方は何パターンかあるけれど、」 ノートの空白にさらさらと数式を書く手の動線を辿りながら問題に真剣に向き合うその眼差しも視界に入れる。 「こんな風に解けばわかりやすいと思うけど、---って、麗聞いてる?」 「…え!?」 「もしかして分かりにくかった?もう一回教えようか?」 その言葉に首を振る。途中式を省略しない灯嘉様の堅実さから、理解が深まって。 「いえ、すごくわかりやすかったです。…私のこんな悩みにも真剣に向き合ってくださるなんて、灯嘉様はやっぱり素敵な方ですね」 「…は?」 「あ、ごめんなさい…!あとは自分で解けると思う、ので、…灯嘉様?」 感謝を述べようと灯嘉様に向き合えば、何故か彼の頬は少し赤くて。体調が優れないのかと額に手を伸ばす。 「な、何…!?」 「お顔が赤いように見えたので…もしかして灯嘉様、体調が優れませんか?」 「…体調は、平気」 「そうですか?もし辛かったらお部屋でおやすみされても、」 確認しようと触れた額からゆっくりと手を離そうとすれば、---手首を捕らわれる。
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