金木犀の妖精

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 結局あの本の事が何も思い出せずもやもやしたまま帰ったその日、今日はバイトが無いから久しぶりに歩いて帰っていたらムックの店の外から店の中を見ている迷惑なクソガキを見つけてしまった。 「…あいつ何やってんだ?」 まさか俺の事探してんじゃないだろな? 「…って告られたわけでもねぇのにそんなわけないか」自意識過剰にも程があるよな。 短く笑ってクソガキに気付かれないようにあいつが背を向けてる間にムックの前の歩道を足早に過ぎて行くと、ぐにっと何かを踏んでしまった。 まさか う○こ!?  一瞬ヒヤッとして恐る恐る下を向くと俺の靴跡がついてしまったうさぎのぬいぐるみのキーホルダーがそこには落ちていた。 「やべ、うさちゃんに可哀想な事しちまった…」 ぬいぐるみを拾ってほろってやってるとうさぎのぬいぐるみの布タグに“1年、はせがわここあ”とひらがな下手くそな字で名前が書かれてあった。 つうか俺、何で拾っちまったんだろ?気にしないで無視して帰れば良かったのに…。 今更になって誰のか不明なぬいぐるみのキーホルダーを拾ってしまった事に後悔してると「あっ、三上さん!」と あのクソガキに見つかってしまった。
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