金木犀の妖精

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「お前そんな本好きやったっけ?」 「別に好きじゃねぇよ」 「せやな。俺もお前も活字見るだけで吐くタイプやもんな」 「そこまでじゃねぇけど…」まぁ確かに苦手っちゃ苦手……。 廊下の壁に寄りかかって ぺらっと 本を開いた。津賀も隣に並んで横目で本を覗き込んだ。 「参考書ってわけじゃないみたいだな…」 「本当(ほんま)に覚えてへんの?」 「うん。いつ買ったかも思い出せない」 「あかんやつやん」 「何かの物語か?…あ、いや違うな……何だコレ……詩集?」 「どれどれ?……『たとえ100人の専門家が 「あなたには才能がない」と言ったとしてもその人たち全員が間違っているかもしれない』…『自分のサイズが0じゃないから醜いと思っている女の子へ。あなたはそのままで十分美しいわ。醜いのは社会なの。』……“byマリリン・モンロー”……って、この本 マリリンの名言集やん!三上ってマリリンのファンやったん?意外〜!」 「違うって!」 「だってこの本お前の家にあったんやろ?」 「だから多分誰かに貰ったやつだって……」 その時 本の間から何か細長い紙が ひらっ と床に落ちた。拾ってみるとそれは金木犀の押し花がセロハンテープで貼られたしおりだった。 「あれっ…これどこかで見た事あるような……」 だけど どこで?
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