#0 プロローグ

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#0 プロローグ

「お兄ちゃん、僕、バイオリン辞める。だから嫌いにならないで」 2歳下の弟は、僕にこう告げて6歳でバイオリンを辞めた。 弟がなぜそんな事を言い出したのか、僕が弟に何をしたのか、 13年経った今でもはっきりと覚えている。 だから僕はバイオリンを続けている。 音楽大学に通いながら、真剣にバイオリン漬けの毎日を送っている。 「ただバイオリンが好きなだけの自分」が「才能があった弟のバイオリン」 を終わらせてしまった罪は、真剣に音楽を続けることでしか償えない。 例え僕が、客席側に人間だったとしても、 1円の価値も無い音楽しか奏でられないかもしれなくても、 弟の願いのために、僕はこれからも音楽を続ける。 ーーー だから嫌いにならないで ーーー
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