絆の鳥

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 大事に一生懸命集めた、王立学校の受験料。  イリスがそのために納めなければならない金額は、大銀貨一枚。  これでも身分や貧富の差で決められた規定の内での最低金額なのだが、十歳から自活しているイリスにとってはとんでもない金額だ。  父の遺品である魔工具の収納袋があったとはいえ、着の身着のままで家を飛び出し、三年半かかってようやく八割り程の金額が貯まった。 「う〜〜大銀貨一枚なんて、銅貨百枚分なんだよ?! 普段ほとんど慎ましく鉄貨で生活しているわたしなのに……銅貨六十七枚、鉄貨百三十五枚かぁー。まだまだ足りないね」  整然と並んだ銅貨と鉄貨を見てため息をつくイリス。  その時、イリスを元気づけようとしたのか、急にイリスの方へと2羽の幼鳥がバサバサッと飛び上がる。 「キーちゃん?! クーちゃん?! この中では危ないよ!!」  しかし、イリスの警告は遅かった……うっかり頭上の岩にぶつかった1羽はもう1羽を巻き込み、銅貨と鉄貨の列へ飛び込んだ。    ドサドサッ!  チャリーン! チャリーン! リーン! リーン!
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