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突然の出来事に驚きつつも、イリスはすぐ、豪快に硬貨を撒き散らし落下した2羽の幼鳥の心配をした。
母鳥のハルも近寄り、イリスと共に幼鳥の介抱をする。
「あ〜驚いたねー! キーちゃんもクーちゃんもここは狭いんだから、気をつけないとダメだよ?」
2羽の幼鳥に怪我が無いのを確かめたイリスはホッと安堵し、そこでようやく周りの惨状に目をやった。
「わっ! わわっ、大変?!」
慌てて硬貨を拾い集めると、申し訳なさそうにしたハルと2羽の幼鳥もピョコピョコと手伝い始める。
そうして、皆が協力して拾い集めた硬貨をもう一度数えた結果――
「うーん、ちょっと減っちゃったね……」
それでも、イリスはハハッと笑ってみせる。
「大丈夫! 岩穴の外にまだあるかもだし……でも、もう暗いし、岩穴の外は危ない。明日の朝、また探せば良いよ。仮に見つからなくても、まだ試験まで1年以上あるんだもん。また稼げば良いよ。怪我がないのが一番! さ、寝よ寝よー」
明るく声をかけて、寝袋の上で丸くなり、3羽のキアをやさしくなでるイリスだった。
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