絆の鳥

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「ん、おはよう、ハル。あれっ?」  朝、起き上がったイリスは違和感を感じ、周りを見回す。  周りには昨日寝たときのまま、旅の荷物とここ最近の採取物が置かれている。  横にはハル。  けれども、―――― (いない。キーちゃんとクーちゃんが、いない)  ハッと一気に覚醒したイリスは飛び起き、岩穴の入り口へ駆け寄る。  入り口には、数枚の硬貨が置かれていた――――まさか! 「ハル! あの子達だけで、外へ行かせたの?!」  ハルは翼を怪我した影響で飛べない。  だから、今までずっとイリスと一緒に、注意深くあの2羽の幼鳥を育ててきたのだ。  キアは幻獣種の中でも知性に勝り賢く、様々な事象を理解するという。  しかし、その反面、成鳥になれる個体はとっても少ないらしい。  なぜなら、幼いヒナのうちは身の危険よりも興味関心が勝った結果、事故に巻き込まれてしまうことが多いから――――! 「あーもう、早くあの子達と合流しなくちゃ! ハル、掴まってー!」  イリスは慌てて背負い袋にハルを入れ、岩穴を飛び出した。
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