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「ハル! あの子達の居場所は分かる?!」
イリスは岩穴から走り出ながら、相棒のハルへと問いかける。
幻獣種のキアとしての力は標〈しるべ〉。
ハルはその力を使い、イリスを2羽の幼鳥へと導く。
(キーちゃん、クーちゃん、無事でいて!)
イリスは心で強く願いながら、最短路を飛ぶように駆けていく。
(昨日、どうしてもっと大丈夫だって、言葉を尽くさなかったんだろう。あの子達、あんなにしょんぼりしていたのに……)
岩穴の入り口に置いてあった数枚の硬貨――それはきっと、あの2羽の幼鳥が早朝から起き出し、外でみつけ、拾い集めたもの。
(あんな硬貨数枚のために、……ううん、たとえ白金貨とだって替えられないよ! わたしの大事な、大事な家族なんだもの)
心配で頭の中がぐちゃぐちゃになりながらも、走るスピードは緩ませない。
ただひたすら2羽の幼鳥の無事を祈りながら、走り続けて間もなく――
クルルルルゥーとかん高くハルが鳴き、イリスの頭の中で映像が流れ出した。
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