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それは、河原で何かをくちばしで一生懸命くわえている2羽の幼鳥と、それを草むらの影から狙う一匹の大蛇の映像。
と、同時にイリスの耳は水音をとらえていた。
(川辺が近い――あの子達を守らなくちゃ!)
イリスは移動しつつも、夢中で背負い袋から自製の投石機を取り出し、そこへ麻痺剤を付与した弾を設置し待ち構える。
すると、森の木々が途切れ、川辺が見えた瞬間、正に先程脳裏に巡った映像と同じ情景が飛びこんできた。
すかさず、イリスは大蛇へ向かって弾を放つ。と同時に、背に居たハルもまた高く警告の声を上げる。
ピィイィーーという母鳥の声に、幼鳥達はすぐさま空へと舞い上がる。それを阻もうと飛びかかる大蛇。
イリスは自分の放った弾が大蛇に当たるまでが、まるでスローモーションのようにゆっくり見え、感じられた。
耐え難いほどの緊張と焦りと無事でいてほしいという願いの中――麻痺弾が大蛇の頭に当たったおかげで、幼鳥達は間一髪で大蛇の牙を逃れられた。
そして、大蛇が悶えている隙に、イリス達は無事拠点である岩穴まで戻ることが出来たのだ。
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