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正直早く帰りたいが、接待として考えれば参加しておいて損のない飲み会だ。
「君の同期の優秀な子いただろ、夏目くんだったかな」
ここで夏目さんの話が出るとは意外だった。
いや、元々評価が高い子だから、当然なのか?
確かに彼女になら補佐係をお願いしたいくらいだけど、彼女にお願いすると俺の私情の関係もある訳で。
多分俺達はきっかけさえあれば簡単に恋愛ごとに発展すると思う。
お互いあれ以来まともに話してないのに、俺は彼女を気になっていて、彼女も多分俺が好きで。
俺も早く話しかけたらいいのに、中々出来なかった。
問題は素を見られて好き勝手言われるのが面倒という理由で始めたこの表向きな性格のせい。
彼女は表向きな俺に好意的なのであって、裏側を見たら引いてしまう気がする。
「そういう話にはならないのか」
「いやー、どうでしょう」
こんなに恋人だ何だと話をされるのはこの会社も家庭を持つ男性社員が出世し易いからだと思う。
よくお見合いの話とかをもらうがあまりその手の話には受ける気がなかった。
「でも正直補佐係につけるなら、夏目さんがいいと思います。彼女の仕事の優秀さは僕も尊敬しています。」
「良いじゃないか、早速週明けにでも相談してみなさい。」
そんなこんなで夏目さんが俺の補佐係に付けるきっかけができた。
それからの彼女は文句ないほどの仕事をしてくれた。
先回りしたサポートと変わらない精確さ。
あの日の一夜では家につれてきて、素を見せたことで嫌われはしたが仕事だからって割り切って仕事をしていた。
そういうところが俺には信用もできた。
元から彼女を気になっていた俺が仕事の様子や笑顔を見て好きになるまで時間がかからなかった。
素を出して嫌われてもまた好きにさせる。
素も受け入れてほしい、彼女にはそんな風に思っていた。
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