デート 2話(完)

3/3
前へ
/28ページ
次へ
◆◆◆ 「……とまぁ、それがお父さまとの馴れ初めよ」 「おとーさまって昔からあんな感じだったんだー」 「おかあさまが幸せそうなのは、おとうさまのおかげなんだねー」  あれから幾年の月日が流れ、ライナルトさまと無事に結ばれた私は、ふたりの子宝に恵まれた。  ライナルトさまと私の、可愛い子どもたち。 「私が幸せなのは、それだけじゃないわ」  そっとふたりを抱きしめる。「おかあさまとおとうさまは、どうやってしりあったの?」とふたりに聞かれたので、子どもたちに合わせて、少しマイルドにしながら馴れ初めを教えたところだ。 「あなたたちがいてくれて、私はとても幸せなの」  愛するライナルトさまとのあいだにできた、私の宝物。  ライナルトさまと結婚するまでも、結婚したあとも、いろいろと大変なことはあったけれど……苦労よりも幸せのほうが多いのよ。 「なにをしているんだ?」 「内緒ですわ」  仕事から帰ってきたライナルトさまが私たちに尋ねる。くすくすと笑いながら答えると、彼はわたしを後ろから抱きしめてきた。  子どもたちは私から離れて、「あそんでくるねー」と軽やかに去っていく。 「……お帰りなさい、あなた」 「ああ、ただいま」  ちゅっ、と軽いリップ音を立てて唇に唇が重なる。  ――この幸せを、絶対に離さない。  そう心の中で誓いながら、私は「もう一度」とライナルトさまにキスをお願いした。  ライナルトさまは、目を細めてもう一度、今度は深く溶け合うような口付けを。  ……殿下の勘違いから始まった、ライナルトさまとの関係。  本当に、感謝してもしきれないくらいだわ。  そしてこれからも、幸せな時間をみんなで紡いでいくの――……
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加