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◆◆◆
「……とまぁ、それがお父さまとの馴れ初めよ」
「おとーさまって昔からあんな感じだったんだー」
「おかあさまが幸せそうなのは、おとうさまのおかげなんだねー」
あれから幾年の月日が流れ、ライナルトさまと無事に結ばれた私は、ふたりの子宝に恵まれた。
ライナルトさまと私の、可愛い子どもたち。
「私が幸せなのは、それだけじゃないわ」
そっとふたりを抱きしめる。「おかあさまとおとうさまは、どうやってしりあったの?」とふたりに聞かれたので、子どもたちに合わせて、少しマイルドにしながら馴れ初めを教えたところだ。
「あなたたちがいてくれて、私はとても幸せなの」
愛するライナルトさまとのあいだにできた、私の宝物。
ライナルトさまと結婚するまでも、結婚したあとも、いろいろと大変なことはあったけれど……苦労よりも幸せのほうが多いのよ。
「なにをしているんだ?」
「内緒ですわ」
仕事から帰ってきたライナルトさまが私たちに尋ねる。くすくすと笑いながら答えると、彼はわたしを後ろから抱きしめてきた。
子どもたちは私から離れて、「あそんでくるねー」と軽やかに去っていく。
「……お帰りなさい、あなた」
「ああ、ただいま」
ちゅっ、と軽いリップ音を立てて唇に唇が重なる。
――この幸せを、絶対に離さない。
そう心の中で誓いながら、私は「もう一度」とライナルトさまにキスをお願いした。
ライナルトさまは、目を細めてもう一度、今度は深く溶け合うような口付けを。
……殿下の勘違いから始まった、ライナルトさまとの関係。
本当に、感謝してもしきれないくらいだわ。
そしてこれからも、幸せな時間をみんなで紡いでいくの――……
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