パーティ会場

3/5
前へ
/28ページ
次へ
 きっぱりと言い放つと、殿下は気分を害したかのように眉を(ひそ)めた。  ……でも、いくら殿下でもライナルトさまのことを悪く言うのは、我慢ならない! 「……いや、だってあいつの顔は……」 「殿下。恋する乙女に愚問ですわよ」  ナターリエさまがそんなことを口にする。  やだ、恋する乙女だなんて! 間違ってはいないけれど! 「――俺のことが怖くないのか?」  ライナルトさまに話しかけられちゃった!  これはもしや、お話しするチャンスなのでは!?  よーし、せめてお友達になれるようにがんばろう! 「はい、全然怖くありません! むしろ格好いいです!」  ぐっと拳を握ってライナルトさまを見つめながら力説すると、彼はとっても驚いているようだった。  そして、「格好いい……?」と怪訝そうな表情を浮かべながらも、自分の顔に触れる。 「……ライナルトの顔が、格好いい……だと……?」  ヴェルナー殿下が理解不能とばかりに私を見た。  確かにぱっと見の華やかさはヴェルナー殿下が上だ。キラキラとしたイケメンだから。  でもね、ライナルトさまには、素朴な格好良さがあるのだ。 「あら、殿下。……顔だけとは言っておりませんわよ? ね?」  ナターリエさまに問われて、こくこくとうなずいた。私がライナルトさまを格好いいと思った最初の出来事は、彼が戦っている姿を見たとき。  そりゃあ、ライナルトさまの顔は目元がきつくつり上がっていて、怖い印象を与えるけれど、それはヴェルナー殿下を守るためでもある。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加