パーティ会場

4/5
前へ
/28ページ
次へ
 私は、ヴェルナー殿下を守るために彼が傷ついた場面を目撃したことがある。……その頃からだ。ライナルトさまのことを目で追うようになったのは。 「はい、ナターリエさま。ライナルトさまのことすべて、格好いいと思っておりますわ」 「まぁ、まぁまぁまぁっ! 嬉しいわ。そんなふうにライナルトを想ってくれているなんて!」  なぜかナターリエさまがとても嬉しそうに声を弾ませた。  私が困惑していると、ナターリエさまは私の手を取る。 「ライナルトはわたくしの従弟(いとこ)なの。こんなに大きくて不愛想な子だから、少し不安だったのだけれど……、きちんとライナルトを見てくれる令嬢がいて嬉しいわ! ほら、ライナルト! あなたもこっちへいらっしゃい!」  ナターリエさまに言われて、渋々という感じでライナルトさまが近付いてきた。  うわぁ、間近で見ると本当に背が高い! 「……ナターリエ嬢、困惑しているようだが……?」 「憧れの人が目の前にいるのですもの、当たり前ですわ」  そっと手を離し、代わりに私の背中を押して、ナターリエさまは微笑んだ。  ライナルトさまも困惑しているのがわかる。  ……声も格好いいなぁ……! 「わたくしたちは大丈夫ですから、少しバルコニーで休憩なさって。ねぇ、ヴェルナー殿下?」 「あ、ああ。そうだな、護衛は他にもいるし……うん、行ってこい」
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加