パーティ会場

5/5
前へ
/28ページ
次へ
 ヴェルナー殿下のお墨付きをもらい、私とライナルトさまはバルコニーに向かうことになった。  ふたりきり……! ふたりきりだわ……!  護衛の仕事を中断させしまうのは心苦しいのだけど、私は胸をドキドキと高鳴らせながらバルコニーへ足を踏み入れた。  会場の熱気はどこへやら。暑かったから、外の空気がちょうど良い。  バルコニーの柵の近くまで向かい、そっとそれに触れる。ひんやりしていて気持ちいい。  ライナルトさまは私の隣に来てくれて、一緒に外の空気を吸った。  ……ああもう、これだけでとっても幸せ。 「……どうして、俺なんだ? 自分で言うのもなんだが、恐れられているんだぞ?」 「……それは、ヴェルナー殿下の護衛だからでもあるでしょう?」  ライナルトさまがヴェルナー殿下の護衛になってから、数年経っている。  最初に殿下とナターリエさまの傍にいるライナルトさまを見たときは、おふたりの友人なのかと思った。  それだけ、彼らの周りは輝いて見えたものだ。  キラキラとまぶしくて、近付けない存在。  男爵令嬢という身分だもの、私。近付こうと思ったことはない。ただ、遠くからライナルトさまが無事であることを祈っていたの。  ライナルトさまをちらりと見ると、彼は真っ直ぐに遠くを見ていて、やっぱり格好いいなと思う。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加