バルコニー

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 ライナルトさまの喋り方って、あまり怖くない。  優しい声色だし、どうしてみんな、あんなに恐れているのかしら? 不思議だわ。 「……レオノーレ嬢」 「は、はいっ」 「俺のことを心配してくれて、ありがとう」  きゅん、と胸が締め付けられそう。  私の知らないライナルトさまの表情が……向けられている。  そのことにどうしようもなく、ときめいてしまう。  私、本当にライナルトさまのことが好きなのね……と改めて思った。 「あ、あの、ライナルトさまっ」 「なんだ?」  私はライナルトさまに身体を向けて、胸元で手を組み、彼のことをじっと見つめてから声を出す。  言え、言うんだ私! お友達になってくださいって! 「わ、わ、私の……、お、お、お……っ」 「?」 「夫になってください!」  ……、……、……、こ、言葉を間違えたぁ……!  お友達になってください、がどうして『夫になってください』になったの私!  願望がだだ()れている!  恥ずかしくて顔を両手で隠すと、ぷっと()き出す声が聞こえた。  おそるおそる彼に視線を向けると、ライナルトさまはくつくつと肩を震わせて笑っていた。うう、笑われている…… 「すまない、あまりにも意外な言葉だったから。俺に対して求婚してきた令嬢は、きみが初めてだ」 「申し訳ございません、つい願望が……」 「……不思議な人だな、きみは」
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