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「二那、ずっと言おうと思ってたことがある。」
ミナに突然そう言われた。
何を言われるのか、検討もつかなかった。
「もう、時間が無いんだ。病院に、精神科に行った方がいい。」
なるほど……その話か。
確かに、俺も病院には行った方がいいと思っていた。というか、ミナに出会う前に1回心療内科に行った。さすがにここまで体調不良になるのはおかしいから。でも、症状の出始めということもあって相手にされなかった。それから俺は病院を遠ざけるようになった。
しかし、流石にもう病院に行かないといけないだろう。
貯金が尽きたら俺とミナは暮らせなくなってしまうし、俺も仕事に復帰出来た方がいい。最近は重荷が取れて少し体調不良も良くなってきてはいたが、完全に治ったとは言えない。仕事に完全に復帰するためにも、病院に行こう。
「……わかった。予約取ってみるよ。」
そう言って俺は前回とは違う病院に電話をした。
なんと、明日空きがあるようでそこに入れて貰えることになった。
早速、次の日に俺は病院に行った。
診察はスムーズに終わり、薬をもらって帰ってきた。
「二那、どうだった?」
「ああ。薬貰ってきた。」
「そうか……良かった。」
ミナは安心したようにそう呟く。
ミナもやっぱり、俺が元気な方が嬉しいだろう。
処方された薬は、朝と夜で2回飲めとの事だった。
「ミナ……なんか、薄くないか?」
何を言っているんだと思うかもしれないが、本当に薄いのだ。細いとかそういう意味ではなくて、色が薄いというか、全体的に透明度が上がっているのだ。透けていると言えばいいだろうか。
「……そうか?普通だと思うけど。」
しかしミナはこう言う。俺の見間違いか。そう思ってその日は過ごした。
しかし、数日経つとそれは見間違いでないことが明らかになってきた。
ミナが、本当に透けているのだ。
それでもミナは、そんなことは無いとしらを切る。
俺は不思議に思いつつも、回復してきた体調に気分が上がり、仕事を探し始めていた。
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