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スタート♥
朝日がいつもの3倍……いや。10倍眩しい。
ベットの上でペシャンと割座しながら、
窓から降り注ぐ光をぼんやりと見つめる。
目が勝手に細くなり、
眠気の晴れない頭は斜めに傾く。
少しのびた襟のTシャツから、
ズルリと肩が出てしまった。
こんなにも目に染みるような朝日は久しぶりだ。
全く勉強してなかったテスト前日に、
一夜漬けした以来。
ようは、あまり寝ていない。
「はーちゃ~ん!?6時30分だよー!?」
エプロンをつけた目覚まし時計が
階段の下から叫ぶ。
とても優秀な"目覚まし時計"の声で、
もうろうとしていた頭が
電流が流れたような衝撃と共に起動する。
「ぅあ!学校!!」
飛び出したベットの上に、
握りしめていた携帯を投げる。
それと同時に通知音が鳴り、
メッセージが画面に表示された。
あ。と小さく声が漏れ、視点が携帯画面にいく。
【 リアル恋愛シミュレーション START♥ 】
通知に表示された”リア恋”を
大きなハートで囲った、
可愛らしくもベタなアプリアイコンを見て、
遠くを見るように目を細めながら昨日を思い出す。
そうか。私はあのキャラ設定をやり切ったのか。
こだわりに、こだわりすぎたあのキャラ設定を。
語尾にまた、頭の弱そうなハートマーク。
案内人の”自称・恋の道化師ノア”という
キャラの顔が、頭の上にふわりと浮かぶ。
通知もヤツなのか。
なんかイラッとくるんだよなあ。
ふいに見た室内時計が、
カチリと音を立てて長針を進める。
我に返って、慌ててパジャマを脱いだ。
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