スタート♥

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「あっははは!いつも以上に面白いな、お前。」 耐えきれなくなったイケメンが噴き出して、 ヒーヒーと笑い始めた。 何ワロてんねん。と顔がすごむが、 イケメンが笑ってるだけで、 うちの花が負けてしまうほど 周りに花が咲いたような空気になる。 ま、眩しい…! 「おばさん。もうラチが明かないから、とにかく学校行くね。」 「それもそうね。いつもゴメンね~。うちの子頼むわ。」 笑い泣きした涙を拭きながら、イケメンがこっちに来る。 ただ知らないイケメンが動いただけで、 訳の分かってない私の体がビクっと跳ねる。 とりあえず、カマキリのような戦闘態勢の構えで 彼の動作に注意払っていると、 じゃあ行こう?と、さわやかな笑顔と共に あっさり私の腕を引っ張られ、 今、自分の身に何が起きてるのか、 私の小さな脳みそが処理できてないうちに、 最寄りの駅に連れて行かれた。 いつもの、少し混んでいる車両。 いつもの、風景が流れていく中。 いつもと、違う人が私の目の前に立っている。 扉の前。私が扉に背を置き、彼は近くの手すりを握る。 はあ、混んでるね。と、少し暑そうに Yシャツの襟をパタパタしただけで、 なぜか絵になるという不思議。 そして、ふんわりと花のように良い香り。 いつもは1人で登校するのに、私はなぜ、 よりにもよってこんな人と一緒に登校しているのだろうか。 頭の中を整理しても、どうしても答えは出てこない。 少し自分を落ちつかせて、彼が私の後ろで流れ行く風景を ぼんやりと見つめている隙に、恐る恐る彼の顔をしっかりと見る。 うわ。イケメン。超絶イケメン。 こんなに顔のパーツのバランスがとれた人間がいるのだろうか。 ………パーツ? そうだ。私。この顔見たことある。 朝の、非現実的な出来事のせいで 頭がぐちゃぐちゃになっていたが、 ゆっくりと頭を回転させ、よーく考える。 今、この瞬間から記憶を巻き戻して、 この顔が出てきた所まで、 録画されたドラマのように巻き戻す。 『どちゃくそイケメンキャラ作ってやるううう!!!』 ここだ!!!!!!!! カバンの外側ポケットに入れた、携帯のロックを外して開く。 例のうさんくさいアプリを開いて、攻略対象一覧を見る。 2頭身にデフォルメされたキャラの中の1人をタップする。 8709da4e-5574-4121-b8bb-1edff97d415d 【青岸 海翔(あおぎし かいと)】 キーワード:幼馴染・優しい・王子様 「う、そ。」 その”カイト”と呼ばれる人物は、 私が小さく呟いた声に気が付いて、 ん?と私の顔をまっすぐ見る。 ふんわり笑うその顔は、 私が作ったデフォルメキャラにそっくりだった。
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