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今更だけど、
絶対人生上で使うことないと思っていた、
あのセリフをここで使うべきだった。
(こいつ直接脳内に…!)
【 使えてよかったね~♥ 】
…心の中全て筒抜けだからやりづらい!!!!!!!
外の風景に気を取られているイケメンを
チラりと確認し、携帯画面のノアと
脳内テレパシーもどきの交信する。
目線を落とすと、ニヤニヤと笑って
私を見ているノアにイラッとする。
もう。いいや。
目の前の海翔くんとやらに
変な目で見られたくないから、
簡潔に説明してください。
【 あ~彼のこと気になっちゃう~?♥ 大丈夫だよ!僕と話してる時は時間もほんのり止まるから♥ 】
時間まで超越した世界に…。
【 だって、さすがに携帯と無言で睨めっこしてるヒロインって怖くない…?♥ 】
怖い。まず人として怖い。
というか、本当にこれはゲームなの?
ゲームどころの騒ぎではない規模なんだけど?
私がゲームの世界来ちゃったとか?
【 ゲームじゃないよ♥ ”リアル”恋愛シミュレーションって言ったでしょ?♥ 全部”現実”だよ♥ 】
いやいやいやいや。
隣の家を一晩で作ったり、
お母さん達の記憶改ざんしたり、
目の前の、私が作ったキャラを
具現化させたりしたのアンタでしょ?
リアル、の言葉で片付けられるような
次元ではないんだけど!???
【 あぁ~それは……”大人の事情”という名の魔法だよ♥ 】
無理やりファンタジーにしたけど、
ぬぐいきれないメタさを感じる。
【 と~に~か~く♥ シロちゃんには、”真実の恋”を見つけるために、たっくさん恋をしてもらいま~す♥ 】
あ。押し切った。
……て、あれ。私の名前は白だよ?
初期設定でちゃんと、
『真紙 白』って入れたはず…
【 シロちゃんの方が、犬っぽくて可愛いよ♥ 】
え。
【 まず、シロちゃんにはコレをあげまーす!♥ 】
パチン、と指を鳴らすとプレゼント箱が
画面に表示され、かってに紐解かれると
キラキラと綺麗なエフェクトとともに、
純白に光り輝く花が出てきた。
そのままメイン画面の、
綺麗に輝く透明なガラス瓶に、
チョコンと生けられる。
…真っ白なスミレの花。
花言葉は『純粋で無邪気な恋』
【 さすが♥ フラワーショップ『Pure White』の娘さん♥ 花言葉まで知ってるんだ♥ 】
国や人によって解釈の違いはあるけど、
私はお母さんからそう教わったよ。
すごく綺麗なシロバナスミレ……これは?
【 君の心♥ これから5週間、君の行動しだいで、この真っ白なお花がいろんな色に染まっていくんだ♥ 】
…ちょっと何言ってるかわかない。
【 とにかく、麗しきヒロインは可愛くうなずいておけばいいのさ♥ 今日からは、沢山のどきどきラブハプニングがシロちゃんを待っているよ!慎重に行動して、”真実の恋”を見つけてね♥ 僕とはアプリを開けばいつでも会話ができるよ♥ 】
え。まって。
どきどきラブハプニング?それって…
【 乙女ゲームでいう、イベント発生ってやつだね♥ 】
おお。ストレートだけどわかりやすい。
けど、あんな非現実なハプニングなんて
そうそう起こらないでしょ。
【 まあハプニングなんて、いつ、なんとき、起こるかわからないから面白いんだけどね♥ 例えば……今とか♥】
アプリ画面のノアがニッコリとほほ笑んで、
パチンと指を鳴らした。
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