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私には冒頭の会話通り、婚約した彼氏がいるのだけど、その彼氏にもここのバーの事は教えてない。
居心地が良くて唯一私が気が抜けて素を出せる憩いの場所。
誰にも邪魔されたくない場所。
そんなこだわりは京には無いだろうし、私が思ってるだけだけど。
「じゃあ、ここのバーには来なくなるわけ? 」
樹の声を聞いて、バーテンダーの黒谷 翔くんが大きな声を出してこちらに寄ってくる。
「絢ちゃん、もう来ないの!? 」
「うーん、機会があれば来たいけど、結婚してここのバーのこと言わなきゃいけないのはやだし、滅多に来れないかなあ」
「何で?旦那と来たらいいじゃん」
「あんたの事、なんて紹介したらいいのよ」
苦笑いして呑気な京に言うと、「いつも一緒に飲んでた男であなたの愚痴もこの人に話してるのって言えば?」と本当ニコニコととんでもないことを口に出している。
少しため息をついて目の前のグラスに入っているお酒を少し揺らす。
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