136人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらく歩いていた所だった。
目の前に見知った顔が見えてゲッと顔を歪ませた。
隣の人の姿見えるまでは、どう鉢合わせしないようになんて考えてた。
急に立ち止まった私に京が不思議そうな顔でこっちを見る。
「…どした」
「…何でも、無い。」
腕を組んで仲良さそうに歩く男女。
片方は私の彼氏で、片方は私の会社の後輩。
ベタベタと触れながら歩いている。
つまり、そういう関係なんだろうな。
私、婚約申し込まれたんだよね?
夢?気の所為だった?
私の目線の先を追った京が何かを察したようにこちらを見る。
「…戻るか」
「あんた、仕事なんでしょ。 付き合わせてらんないわよ」
「絢音。お前俺に気遣えたの?」
「ぶん殴るよ、本当あんた」
ああ、本当。こんな時一人じゃなくて良かった。
こんな奴でも隣に居てくれて救われてる。
カシャッとシャッター音が聞こえて隣を見ると彼氏と後輩の姿をカメラで抑えてる。
「あんた何して…」
「こういう時証拠抑えとけば相手の不貞で婚約破棄出来る上に慰謝料請求出来んだろ?何にしてもお前が迷惑被らないように戦えるカードは持っとけば?」
「腕組んでるだけじゃ弱いからもうちょい…、後付けるか」なんて何枚かスマホで撮りながら話している。
少しも、落ち込んでる時間なんてないんだよね。
確かに終わってから落ち込むのはありか。
ちゃっかりしてて、しっかりしてる京に少し笑って「付き合ってよ、探偵ごっこ」と言うと、「任せろ」と2人でグータッチする。
最初のコメントを投稿しよう!