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愛菜の毒舌炸裂!
これに今度は愛菜が怒った。
「この童貞早漏野郎!習志野ごときが調子に乗るな。おまえらがでかい顔出来るのは千葉県内だけ。手塚先輩は、あの大阪藤蔭に居たんだから、あんたらより上、跪け、このフルーツチンポ!」
愛菜の罵詈雑言を浴びせられた林は急に真顔になった。
「・・・・・。大阪藤蔭だと・・・・。あんた藤蔭に居たのか?」
不沈空母、大阪藤蔭のブランド力に林は沈黙した。
「芦田さん、止めるんだ。」
手塚が愛菜を止めようとするが、愛菜は止まらない。相手が弱ったと見ると、怒涛の攻撃を仕掛ける。
「ビビってるんじゃねえ。大体、男がマネージャーってなんだ。お前はオカマなのか。試合に出れないからマネージャーになったんだろうが。才能ねえんだろ。自分に才能ねえくせに人を扱き下ろすんじゃねえよ。なにが三流野球部だ。うちが三流ならあんたは四流か?それとも五流か?」
愛菜の毒舌を目の当たりにした皆は一様に静まり返った。確かに林はいけ好かない奴には間違いないが、言ってはいけない事も有るだろうに。愛菜はお構いなしである。
「芦田、お前・・・鬼だな。」
「そこまで言う事ないだろう。言って良い事と悪い事があるだろう。」
菊池と丸に言われて、愛菜は初めて自分が皆から白い目で見られている事に気付いた。
「なんですか?何でそんな目で見るんですか。この人が悪いんじゃないですか。」
愛菜は全く反省の色を見せなかった。一方で林は涙目になっている。どうやら元々、選手だったのが、自分の才能に限界を感じて裏方に回ったのは図星の様であった。それが心を抉ったのだろうと咲良は推察した。
「うちのマネージャーが失礼な事を言いました。済みません。」
「私らは全然そんな事は思ってませんよ。本当に。」
手塚と咲良はショックの色をありありと見せる林を気遣ったが、逆にそれが火に油を注いだ。
「・・・・・・・。帰れ。」
蚊の鳴くような声であった。
「えっ、なんですか?」
咲良が聞き返すと、林は大声で喚き散らした。
「お前らの様な失礼な奴らは見た事ない。今すぐ帰れ、馬鹿野郎。お前らに俺の何が分かる。俺がどんな気持ちでマネージャーをやってると思う。言ってみろ。この糞野郎。」
終わった。これは試合をして貰うのは無理だろうと咲良は直感で感じ取った。林に何と言われようとも下手に出るべきだったのだが、咲良が謝罪しろと罵り、愛菜が禁句を連発で止めを刺してしまった。もうどうしようもない。咲良は肩を落とした。だが、愛菜は黙っていなかった。喚き散らす林をスマートフォンで撮影し始めた。
「てめえ、何を撮ってるんだ!」
激高する林に愛菜は不適な笑みを返した。
「SNSにアップするんですよ。習志野の野球部の無様な負け犬マネージャーが吠える様子を。愛菜はフォロワーが40万人いますからね。覚悟して下さい。晒してやるんで。」
それを聞いた林は愛菜に飛び掛かって、スマートフォンを取り上げようとした。
「ちょっと何するんですか。」
「携帯寄越せ。」
取っ組み合う2人を見て、皆が止めに入る。2年生は林を、1年生は愛菜を引き剥がして制止しようとするが、2人は罵り合うのを止めない。もう無茶苦茶であった。
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