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ひみつの関係
安さが売りの大衆居酒屋。大部屋の襖を開け、柔らかな畳の上を千鳥足で進んでいく。
と、先ほどまで私がいたはずの場所には知らない一年生が座っていた。私の隣でハイボールを呷っていたはずの友人の姿も近くにない。
「あれ、ちお、」
安いお酒に侵され、呂律が回らなくなった口で友人の名前を零すと、どこからともなく名前を呼ばれた。頭がぽおっとしているせいで、その声がどこから聞こえているのか分からない。迷える子鹿のように、きょろきょろと辺りを見渡す。
「おーい、美羽!こっちー!」
同じく安いお酒に侵され、声量のバグを起こしている千桜の声が、反対側から聞こえた。膝立ちする彼女の右手にはハイボール、左手には私が飲んでいたビールが持たれている。
再びふらふらと目的地のテーブルまで歩き出し、倒れ込むように千桜の隣の座布団へと腰を下ろした。
その流れで千桜の肩へ頭を預けると、動物を愛でるかのように前髪をわしゃわしゃとされた。
「みーうー、いい感じにでき上がってるじゃーん」
「さいしょっから、ペース飛ばしすぎたかも」
「お前らのとこ初っ端からコール飛んでたもんな」
「あれは確実に佐々木先輩たちのせい」
「美羽も千桜も今日のお持ち帰り候補だったんじゃねえの」
「別にあたしはそれでもよかったんだけどねー」
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