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「美兎くんは、遊んでそうだからいや!」
ふい、と顔を横に背けると、「残念。また振られちゃった」と淡々とした声が聞こえた。美兎くんのその声は、全くもって残念そうに聞こえない。
「美羽って意外とガード固いもんなあ。千桜もちょっとは美羽を見習えよー」
「はあ〜?さっきまでここにいた一年を狙ってた伯井に言われたくないんですけどお」
「べ、別に狙ってねーし」
「いーや、あれは100狙ってた!雄の目してた!」
「あ゛ー?」
「はー?」
千桜と千桜の横に座る伯井くんの会話は急なヒートアップを見せる。酔っ払いあるあるだ。
「ねー百瀬ー」
そんな2人を気に留めることなく、美兎くんの隣でマイペースに枝豆を齧っていた桐生くんが私の名前を呼んだ。
「なあに」
「実際さっきのどーだった?」
「どうって……なにがどう?」
「少しはきゅんとした?」
八重歯をチラリと見せた桐生くんは、真正面の私にニヒルに微笑んだ。
「きゅんしない。全然きゅんしない」
「えー本当に?」
「ほんとーに。女慣れしたチャラい人には1ミリもときめきません!」
「あらら。どんまい」
「ね。俺どんまい」
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